すばる星空倶楽部

星のお話

Vol.02 天の川に浮かぶ散開星団(さんかいせいだん)

散開星団のプレアデス星団(左)とヘルクレス座の球状星団(右)。散開星団の方が構成する恒星の数は少なく、太陽系からの距離も近い。

【写真提供/株式会社ビクセン】

日の入りがずいぶん早くなった11月。夜空がすっかり暗くなる頃には、「すばる」が東の地平線に顔を出しています。いよいよ凍(こご)える季節の始まりです。
すばる(プレアデス星団)は、100個ほどの若い星がまばらに集まった「散開星団」と呼ばれる星の集団ですが、このすばるを見上げる冬の夜空には、同じような散開星団をいくつも見つけることができます。

太陽のように自ら光を放つ恒星(こうせい)がたくさん集まったものを「星団」と呼びます。このような星団は大きく2つの種類に分けることができます。一つは数百個程度の星が不規則な形でまばらに集まる「散開星団」、もう一つは数十万から数百万個もの星が密集(みっしゅう)してまるいボールのような形をつくる「球状星団(きゅうじょうせいだん)」です。すばるは前者の散開星団に分類されます。散開星団は比較的若い数億年程度の年齢の星で構成されるのに対して、球状星団は年齢がおよそ100億年という古い星の集団で、その形や構成する星の数もまったく対称的(たいしょうてき)です。さらに、球状星団は夜空のあちこちに見られますが、散開星団は天の川に沿って見られるものがほとんどです。

11月上旬の夜10時過ぎ、すばるが東の夜空高く昇る頃。左側に視線を移(うつ)してみましょう。雄々(おお)しく振り上げた牡牛(おうし)の角の先に、将棋(しょうぎ)の駒のような五角形の星座・ぎょしゃ座があります。この五角形の中に、3つの散開星団(M36、M37、M38)を見つけることができます。また、牡牛のもう一方の角の先にあるふたご座。この足下にも散開星団M35が見つかります。双眼鏡(そうがんきょう)を向けると、視野に散らばる星々の輝きが美しい星団です。そして、辺りの暗さに目が慣れてくると、ぎょしゃ座の五角形を貫(つらぬ)く淡い天の川の光に気がつくことでしょう。

そこから、ペルセウス、カシオペヤ、はくちょう、と夜空をぐるりと取り巻く天の川をたどってみてください。西の地平線に今にも沈(しず)もうとしている夏の大三角が、季節の移り変わりを告げています。

文:小野智子(国立天文台天文情報センター)

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