会場を埋め尽くした1000台のWRX
なによりも壮観だったのが、駐車場に並べられた数々のWRX。初代WRXから現行WRXまで全国から1000台以上のWRXが集まりました。これだけのWRXが一度に見られる機会はそうそうありません。駐車場は型式やボディカラーなどのタイプ別で統一感ある並べ方になっており、それぞれのカスタマイズの違いなどを見ているだけでも飽きることはありません。WRXオーナーの方々にとっても、隣に停まっているWRXのタイプが近いことで仲間意識も高まったのか、各所でWRX談義、カスタマイズ談義に花を咲かせていました。


WRX専用と化した駐車場は、型式やボディカラーの統一感がありました。


駐車場に入るための列も、あらゆる世代やタイプのWRXが勢揃い


オーナーの皆さんと交流するSUBARUやSTIのスタッフ。会話の中から次の商品のヒントも?
今だからこそ話せるEJエンジン「ここだけの話」
ステージでは、WRXに搭載されるEJエンジンに縁が深い3人のメンバーによるトークショーが行われました。まず、スバルテクニカインターナショナル代表取締役社長の平岡泰雄さんは、EJエンジンの誕生から携わってきたエンジン開発者。同社の辰己英治さんはSUBARU在籍時代に初代レガシィの性能開発を担当しており、EJエンジンの性能向上とともに歩んできました。そしてSUBARUの嶋村誠さんは、EJエンジンがデビューした直後に入社し、長らくWRCを担当。「WRX STI Final Edition」の企画のリーダーでもあります。
それぞれの立場で、人生の多くの時間をEJエンジンとともに過ごしてきた3人だけに思い入れはひとしお。30年にわたって一つのエンジンが生産されるのは世界的にも稀なことだけに、生産終了を寂しく思いながらも誇らしさを感じているようでした。
トークショーの中で辰己英治さんは「10万キロ速度記録に挑戦するという話を聞いたとき、思い切ったことをするなと思った。テストしているときによくエンジンが壊れていたから、ホントに10万キロ走れるの?とね」と”ここだけの話”をして場内を笑わせる一方、「ニュルブルクリンク24時間レースには11回挑戦しているけど、エンジンは一度も壊れたことがない。量産車の生産は終わるけど、レースではまだまだお世話になります」と、熟成を重ねたEJエンジンの信頼性に感謝の言葉を述べていました。

EJエンジンと長年関わってきたメンバーのトークショー

ステージだけではなく、レジェンドカーを前にしてのトークも随時開催。
ボンネットやトランクを開けるたびに多くの人が集まっていました。
サプライズゲストは、2人のレジェンドドライバー
次いでステージで行われたのは、当日まで公にされなかった”レジェンドドライバー”のトークショー。ペター・ソルベルグさんが登場すると、会場は大きな歓声に包まれました。そしてもうひとり、現Toyota GAZOO Racing WRT 監督のトミ・マキネンさんも登場しました。マキネンさんの参加は会場内の掲示板でも告知されていなかったため、本当の「サプライズ」となりました。
STIの社長も務めた桂田勝さんを父に持つ桂田アマンダ純さんをナビゲーターとして進行したトークショーでは、SUBARUで2人が戦っていた頃の回想とともに、ラリーの今後にも話が及びました。2002〜03年にSUBARUでチームメイトだった2人。やんちゃなソルベルグさんと落ち着いたマキネンさんとの冗談交りのトークは、かつての「師弟関係」を彷彿とさせました。
トークショー後は、ペター・ソルベルグさんによるスペシャルランが実施され、今年引退するとは思えないドライビングテクニックに場内のボルテージは最高潮に。走り終えた後も行く先々でサイン攻めに遭っていました。引退後は「新しいチャレンジをする」と語っていたソルベルグさんの今後が楽しみです。


再会を喜ぶペター・ソルベルグさんとトミ・マキネンさん。
セントラルラリー愛知・岐阜の合間を縫って駆けつけてくれました。


ペター・ソルベルグさんによるスペシャルラン。代名詞でもある「ハコ乗り」も披露。
※決して真似をしないでください。

スペシャルランの後、大歓声の中インタビューに答えるソルベルグさん。
「スバルファンのアイドル」は健在でした。
EJ20は終了しても、WRXと「SUBARUの愉しさ」は終わらない
クロージングトークでは、SUBARU商品企画本部より阿部一博さん、五島賢さん、第二技術本部より小倉明さんが登場。SUBARUの商品企画・技術開発の要職に就くメンバーだけに、来場者が気になるのは「今後WRXがどうなっていくのか」という話。それについて五島賢さんは、ギリギリの質問にたじたじになりながらも「次のWRXは、革新以上のレヴォリューションにしたい」と約束。小倉明さんは「みなさんの期待を超えるエンジンを作りますので、待っていてください」、阿部一博さんは「環境など色々考えなければいけないことがあるが、皆さんに愉しさをお届けするのがSUBARUの使命ですので、信じてください」と語っていました。
SUBARUとSTIのメンバーたちは、一車種のクルマ、一種類のエンジンがこれだけ多くの人を熱く出来るということを再確認し、嬉しさとともに「お客様の期待を裏切ってはならない」と決意を新たにしていました。

クロージングトークに立つ商品企画・技術開発のメンバー。
五島賢さんは「I'm WRX PGM」と書かれたTシャツを準備してイベントに臨みました。

「皆さんの情熱が嬉しさ以上にプレッシャーでもある」と商品企画本部 阿部一博さん。
「お客様と直接触れ合って肌で感じたことを商品企画に役立てていきたい」と、こうした交流イベントの参加にも前向きでした