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季節の天体ショー

2019夏 注目の天体情報

2019 [夏] 注目の天体情報!

天の川…、まだ見たことがない人はチャンス!です。夏は天の川が見やすいだけでなく、今年は特別な光景が夜空に広がります。織姫さまと彦星さまが両岸にたたずんでいるだけでなく、木星と土星も天の川の左右に鎮座。このダントツに明るい惑星(木星、土星)を目印にして、“初”天の川を見つけてみてください。

INDEX

天の川をはさんで向かい合う木星と土星 天の川をはさんで向かい合う木星と土星

天の川と金星、土星、木星

<天の川と金星、土星、木星>
撮影:Ⓒ清木幸治 (2019.3)

今年の夏は超レアな星空に!

こと座ベガ(=織姫さま)やわし座アルタイル(=彦星さま)のような星は恒星と呼ばれ、宇宙でいつも同じ位置にあるので、その並び方を変えることはありません(※1)。ただし地球は自転(※2)をしているため、東から西へ移動するように見えます。
一方 木星土星のような惑星と呼ばれる星は、太陽を中心に回転移動している(公転(※3))と同時に、地球の方も公転や自転をしているので、地球から惑星を見ると、夜空のあっちこっちに現れます。

だから今年のように、太陽系で最も大きい木星2番目に大きい土星が、きれいに天の川の両岸に並ぶなんていう配置はめったに見られません。
しかも木星は6月10日に、土星は7月10日に、衝[しょう](※4)と呼ばれる、もっとも観察に適した時期を迎え、秋ぐらいまで見られます。こんな豪華な配置の星空は、今夏を逃したら次は59年後まで待つしかありません。

※1…厳密には恒星もほんの少しずつ移動していて、何万年という期間を通してみると星の並びも変わっています。

※2…自転=北極と南極を結んだ線を軸として、天体が駒のように回ること。地球は約24時間で1周します。木星の場合は約9.9時間、土星は約10.7時間で1周します。ずいぶん速いですよね。 ≫ 図解はこちら

※3…公転=ある星を中心として、その周りをほかの星が回ること。地球は太陽を中心にして約1年かけて1周しています。木星や土星なども太陽を中心にして回っていて、木星は約11.9年、土星は約29.5年で1周します。 ≫ 図解はこちら

※4…衝[しょう]=地球から見て、その惑星が太陽とちょうど反対にあること。日没ごろにその惑星が東から昇り、日の出のころに沈むので、ほぼ一晩中見ることができます。また地球とその惑星の距離が最も近づいている時期でもあります。 ≫ 図解はこちら

この夏の主役たちをご紹介

★7月上旬 22:00、下旬 21:00
★8月上旬 20:00、下旬 19:00
※時刻はすべて東京を基準としています。

これくらいの日時に南の夜空を眺めると、下のイラストのような位置に木星と土星が見えます。
見つけるのは簡単。空を見て、1番明るくて右にあるのが木星、2番目に明るくて左にあるのが土星です。
木星の右下にある赤っぽい星さそり座の1等星アンタレス。サソリの心臓と言われています。アンタレスからS字をを描くように並んでいる星がさそり座です。

そこからやや東寄りの天頂へ向かっていくと、3つの明るい星が三角形を作っています。これが夏の大三角。天頂に近いのがこと座の1等星ベガ、つまり織姫さま。3つのうち高度が1番低いのがわし座の1等星アルタイルで彦星さまです。残りの1つがはくちょう座の1等星デネブで、白鳥のお尻です。
これらの星は、街明かりのそれほど多くない場所で、晴れていれば簡単に見つかります。街灯や看板などの明かりが少ない郊外へドライブにでかけたら、ぜひ夜空を見上げてみてください。

2019年8月1日の天の川付近

<2019年8月1日の天の川付近>
20:30ごろ。この日は新月で、天の川を見るには絶好の機会。

天の川の探し方(2019年夏限定)

今まで天の川を見たことがないという人も、これならきっと見つけられるのではないでしょうか。ただしこの方法は、今年の夏しか使えません
まず街灯などの明かりがほとんどないような暗い場所で、さっき見つけた木星と土星の間を見つめます。そこから天頂の方へ視線を移し、夏の大三角の辺りまで、この間を数秒間、じっと見続けましょう雲のようなモワッとしたものが見えませんか?これが天の川です。すぐに見つからなかったら、少し時間をかけて見つめ続けてください。目が星空の暗さに慣れて、天体を見つけやすくなります。一度見つけられれば、だんだんすぐに見つかるようになってきますよ。

双眼鏡を持っていたら、木星と土星の間を双眼鏡でゆっくり、何往復かしてみましょう。そこに星のつぶつぶがたくさん集まっているのがわかります。これが天の川の正体。銀河と呼ばれる星の集団です。
オススメしたいのは、地面にシートを広げて横になり、楽な体勢でずーっと双眼鏡で星を見続ける天の川クルーズ! 目がすっかり星空になじんで、星々の微妙な色の違いや光の強弱がわかるようになってきたころ、自分が宇宙の中に漂っているような不思議な感覚に気づくかもしれません。

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8月12日は月と土星のコラボに注目!

惑星と月が夜空で接近する光景は、肉眼でも天体望遠鏡でも見応えがあります。今年の夏の主役、木星と土星に月が近づく日は逃すわけにはいきません。
8月9〜12日にかけて、月は木星→土星付近と位置を変え、満ち欠けも変化します。特に12日の月と土星の距離は満月2個ぶんぐらいと、超接近しています。南半球では土星が月の陰にかくれる星食となります。

このころの地球と月の距離は約40万km、木星は約7億1,167万km、土星は約13億7,447万km。これほど距離の違う月と木星、土星がこんな風にありありと一緒に見られる感動も味わいましょう。この4日間はできれば毎日、星空を見上げてみてください。

8月9〜12日の月の位置

<8月9〜12日の月の位置>
時刻はいずれの日も20:30ごろ。星座の位置は8月12日のもの。天体の大きさは大幅にデフォルメしています。

★夏の星空の定番! ★夏の星空の定番!

夜空に描かれる8月の七夕ストーリー

7月7日の七夕とは別に、最近では伝統的七夕の日が注目されています。これは旧暦(太陰太陽暦)を仮に現代に当てはめて計算したもので、2019年は8月7日がその日になります。
月の満ち欠けを元に導かれるので、この伝統的七夕の日は毎年必ず月齢が6前後、上弦の少し前。月が舟のような形に見え、天の川の両岸にいる織姫(こと座のベガ)と彦星(わし座のアルタイル)が、この月の舟に乗って川を渡ると言われています。
7月7日と違って梅雨も明けている伝統的七夕の日に、そんなロマンチックな星空をぜひ眺めてみてください。

<夏の大三角(織姫と彦星)、天の川に沿って流れるペルセウス座流星群>

<夏の大三角(織姫と彦星)、天の川に沿って流れるペルセウス座流星群>
撮影:Ⓒ井川俊彦(2018.8.12)

今年のペルセウス流星群は?

夏休みといえばペルセウス座流星群! 流星群は毎年同じ時期に見ることができ、8月13日前後に極大[きょくだい](※5)を迎えるのが、ペルセウス座流星群です。
ペルセウス座流星群は、ペルセウス座のある方向が流れ星の出発点(=放射点[ほうしゃてん]もしくは輻射点[ふくしゃてん])となっています。でもペルセウス座の方向をずっと見ている必要はありません。放射点から四方八方に流れますので、空全体、できるだけ広い範囲を見ていた方が、流れ星は見つけやすくなります。

今年は極大の8月13日が満月の2日前とだけあって、月明かりで夜空が明るく、条件は厳しめですが、月とは逆の方向を眺めるとか、月が建物や山などの陰に隠れる時間帯を狙うなど、工夫次第で流れ星が見られるかもしれませんよ。流星群を見るオススメ時間帯は下記のとおりです。

★8月14日3:00過ぎ〜夜明け前
★8月13日2:00過ぎ〜夜明け前

※5…流れ星が最もたくさん流れると予測される日時

出典:科学情報誌「So-TEN-Ken」/Ⓒ(株)Vixen、(株)誠文堂新光社

そのほか、この夏注目の天文現象などを知りたい方は、国立天文台WEBサイト「ほしぞら情報」をご覧ください。

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