すばる星空倶楽部

季節の天体ショー

2019春 注目の天体情報

2019 [春] 注目の天体情報!

寄り添う姿がなんとも愛らしい二重星。春は注目したい二重星がたくさんあります。肉眼では1つに見えていた星が、天体望遠鏡で見るとじつは2つ? いいえ、4つ? いやいや…。天体望遠鏡で星に迫(せま)っていくと少しずつ本当の姿が見えてきます。 また5月の大型連休には、みずがめ座η[エータ]流星群がピークを迎(むか)えます。

INDEX

春の代表的な星座と二重星

<春の代表的な星座と二重星>
4月上旬なら22:00ごろ、4月下旬20:40ごろ、5月上旬20:00ごろ、5月下旬日没ごろに南を向いて夜空の真上あたりを見上げると、このような星の並びになります。本文中でご紹介するおおぐま座北斗七星の二重星のほかに、春の天体では、かに座ι[イオタ]星、しし座のγ[ガンマ]星、うしかい座のプリケリマといった二重星があります。時刻は東京を基準としています。撮影:Ⓒ沼澤茂美

春は二重星!天体望遠鏡で迫ると、もっともっと見えてくる!? 春は二重星!天体望遠鏡で迫ると、もっともっと見えてくる!?

まずは北斗七星にある二重星 ミザールとアルコルを見つけよう!

二重星というのは、2つの星がすごく接近して見える天体です。本当はとても離れているのに、地球から見るとほぼ同じ方向にあるから、“見かけ上”接近して見えるものと、じっさいに2つの星がおたがい引き合って回っている連星[れんせい]、この2種類があります。
まずは北斗七星の二重星から探してみましょう。
北斗七星はおおぐま座という星座の一部分なのですが、そのひしゃくの柄の部分(おおぐまの尻尾の部分)にミザールアルコルという二重星があります(イラストA、B参照)。明るい方が2等星のミザール、暗い方が4等星のアルコルです。

まずは肉眼でこの二重星が1つに見えるか、2つに見えるか、確認してみましょう。
古代アラビアなどでは、この二重星が2つに見えるかどうかで、視力の良し悪しを検査していたそうです。また現代でも、4等星のアルコルまで肉眼で見えれば、その場所の星の見え具合はまずまずと判断できます。ちなみにこの二重星は約4光年離れているのですが、つねに同じ方向に動いていて、見かけ上の二重星なのか、連星なのかはまだ分かっていません。

二重星の二重星!? さらにミザールも2つの星だった!!

先ほど見つけたミザールを、天体望遠鏡の倍率を100倍以上にしてのぞいてみましょう。なんと、これもさらに2つの星が重なって1つに見えていたことがわかります。
こちらの二重星は連星で、明るい方をミザール主星[しゅせい]A、暗い方をミザール伴星[ばんせい]Bと呼びます(※1)。
100倍ぐらいの倍率でのぞくと、ミザールAとミザールB、そして少し離れた所にアルコルと、3つとも1つの視野におさまります。
そしてそして…、驚くことにミザールA、ミザールBもそれぞれ伴星をともなった連星であることが知られています。つまり二重星の二重星の二重星。これは一般的な天体望遠鏡では見ることができず、高度な観測方法で確認されています。

※1…連星は明るい方を主星、暗い方を伴星と呼び、「A」と「B」で表します。

<北斗七星のミザールとアルコル>

<北斗七星のミザールとアルコル>
ミザールとアルコルが二重星であるだけでなく、ミザールもさらに二重星に!? 撮影:Ⓒ沼澤茂美

色のちがいがおもしろい二重星。りょうけん座のコル カロリ

北斗七星(おおぐま座)のすぐそばにあるりょうけん座。Aの星図を参考にして探してみましょう。周辺にはあまり明るい星がないので、この二重星は3等星でもそこそこ目立つはずです。
天体望遠鏡の倍率はやはり100倍以上に。淡く黄色味がかった明るい方が主星のコル カロリ。暗めの伴星の方は紫色で、色の対比がとてもきれいです。
倍率の違う接眼レンズが複数ある場合は、徐々に倍率を上げていき、何倍から2つに分かれて見えるか試してみるのも楽しいですね。大気の状態で色味も多少変わるので、日を替えて何日か観察してみてください。

コル カロリ

<コル カロリ>
撮影:Ⓒ沼澤茂美

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地球のどこかで見上げよう!「みずがめ座η流星群」

春の代表的な星座と二重星

<オーストラリアでとらえたみずがめ座η流星群>
撮影:Ⓒ及川聖彦(2016.5.4)

★オススメ:5月6日と7日の 1:00過ぎ〜夜明け前
★極大:5月6日23:00ごろ
流れ星はとても淡い光なので、空が暗い…、つまり街灯や看板などの人工光はもちろんのこと、月の明かりさえもない方がよく見えます。5月5日が新月なので、この流星群の見頃となる6日、7日は月明かりもなく条件は◎。連休で人工光の少ない郊外へ出かける方はチャンスですよ!
オススメの時間帯は、放射点(※2)となるみずがめ座のη[エータ]星が地平線から姿を現す1:00過ぎ(※3)から夜明け前まで。

放射点が昇ったばかりの頃は、流れ星が長くダイナミックに天空を横切る姿が見られるかもしれません。この流星群はスピードが速いという特徴があり、明るい流れ星では流星痕(りゅうせいこん※4)が残ることもあります。
極大、つまり流れ星がもっとも多く流れるのは23:00ごろなのですが、この時間は日本から見るとみずがめ座η星はまだ地平線の下。流星群は放射点が地平線から少し昇ってからでないと見られません。ですが、もし連休に南半球へ旅行しているなんていう方は、極大の時間帯にみずがめ座が昇っているので、流れ星もたくさん見られます。

※2…放射点=輻射点[ふくしゃてん]。流れ星が飛び始める出発点のように見える位置
※3…本文内の時刻は東京を基準としています。
※4…流れ星が通った跡に残るちりや燃えかす。数秒で消えてしまいますが、まれに数十分残るものもあります。

出典:科学情報誌「So-TEN-Ken」/(C)(株)Vixen、(株)誠文堂新光社

そのほか、この春注目の天文現象などを知りたい方は、国立天文台WEBサイト「ほしぞら情報」をご覧ください。

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