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歴史と自然を楽しむ!スワイチ(諏訪湖一周)ライド

淡路島を一周する「アワイチ」、琵琶湖を一周する「ビワイチ」など、どこかを一周する「〇〇イチ」というサイクリストに愛されるコースは全国に点在しています。今回は諏訪湖一周「スワイチ」を走りつつ、その周辺のスポットも紹介します!

都心からクルマで約3時間。自然も歴史も愉しめるコース

今回訪れた諏訪湖は、諏訪盆地に広がる信州一大きな湖です。一部工事中の区間があるものの、ほぼ全周にサイクリングロードが整備され、初心者ライダーでも走りやすいコースになっています。都心からも3時間弱とアクセスもよく、湖の周囲には多くの観光スポットもあり、自転車以外の楽しみ方もできます。

今回巡るスポットは大きく以下の7か所です。
1.諏訪大社 上社 前宮(かみしゃ まえみや)
2.藤森照信 フジモリ茶室
3.諏訪大社 上社 本宮(かみしゃ ほんみや)
4.高島城
5.諏訪大社 下社 秋宮(しもしゃ あきみや)
6.諏訪大社 下社 春宮(しもしゃ はるみや)
7.釜口水門

諏訪といえば、7年に一度行われる御柱祭(おんばしらまつり)で知られる諏訪大社がある地域。4社ある諏訪大社は諏訪湖に近く、自転車で無理なく訪れることができるので、純粋な"スワイチ"からは少し外れますがあえてコースに入れてみました。

湖の南側、諏訪大社 上社 前宮からスタート

諏訪湖の南から7kmほどの地点にある「諏訪大社 上社前宮(以下 前宮)」から走り始めます。前宮の本殿は、神話の中では諏訪大明神が最初に居を構えた土地とされる“諏訪信仰発祥の地”です。旧鎌倉街道から山に向かって山道が作られていて、その周辺には今もなお小さなお社がたくさんあります。

これが前宮の本殿です。自然の中にひっそりと佇むその本殿は、最初の地、ここからはじまったという荘厳さが感じられる雰囲気。ちなみに諏訪大社の4社の中で本殿があるのはこの前宮のみ。ほかは自然の杉の木などをご神体としています。

諏訪大社といえば「御柱(おんばしら)」でも有名ですが、4社それぞれに4本、合計16本の柱が立てられています。実際に間近にしてみると、簡単に「立てられてます」と言える大きさではなく、人力のみで山から運んできたものだと考えると感じ入るものがあります。

森の中に佇む宇宙船?

前宮を後にして、次の「諏訪大社 上社 本宮(以下本宮」を目指しますが、その途中でちょっと寄り道を。前宮から1kmほどのところにあるのが「藤森照信 フジモリ茶室」です。

藤森照信氏は石や木材、土などを使い、"不思議"な建築物を作り上げることでも知られている諏訪出身の建築家。このあたりには氏の作品群があり、まとめて見学することができます。県道からわき道に入り、坂道を上っていくと見えてくるのが藤森氏の代表作のひとつ「空飛ぶ泥船」です。

"泥船"とは名付けられていますが実際のところは「空に浮かぶ茶室」。藤森氏が「茶室が欲しくなった」ということから設計されたもので、4本のワイヤーで吊り下げられており、地上約3.5mに浮かんでいます。土壁のような黄土色の壁と銅板の屋根、そして丸みを帯びたフォルムがまるで宇宙船のよう。

もうひとつある茶室が「高過庵(たかすぎあん)」です。地上6mの栗の木の上にちょこんと乗った、まさに「高すぎ」なところに建てられた建築物です。アメリカのTime誌で「世界でもっとも危険な建物トップ10」に選ばれたこともあるようですが、内部に入ることもできます。これらの建築物の見学は自由。ただし中に入るには見学ができるツアーに申し込む必要があります。興味のある方はぜひ!

信長も参拝に訪れた戦の神

フジモリ茶室から5分ほどのところにあるのが、2つ目の諏訪大社「本宮」です。東参道にある大鳥居をくぐった先の境内を目指します。

この奥が正門です。近くの駐車場に自転車をとめて境内へ。近くには織田信長が長篠の戦いの後、武田討伐の際に滞在したと言われている法華寺もあります。

本宮には21棟の重要文化財がありますが、これもそのひとつ、1829年に上棟された「入口御門」です。

欄間には竜や鳳凰、麒麟などの伝説上の生き物たちが四方に施され、これらは吉兆をもたらすとされる瑞獣(ずいじゅう)ですが、その精緻さを見ていると本当に恩恵に預かれそうな気持ちになります。

「入口御門」の先にあるのが、70mもの長さを誇る回廊「布橋(ぬのばし)」です。この"橋"を奥に歩いていく途中に「絵馬堂」などを拝観しながら、幣拝殿(へいはいでん)まで行くことができます。

一般的な神社は拝殿の奥には本殿があるものですが、本宮は独自様式「諏訪造り」のため本殿がありません。奥に見える杉林、山々がご神体となっています。これを目の前にすると神聖さ、社殿の荘厳さ、吸い込む空気の神々しさで身体が清められていくような気持ちになります。

拝殿の近くにはかつていろいろな神楽が行われていたという神楽殿も。直径が2m近くもある大太鼓は、年に一度、元日の朝にだけその音を聞くことができるとのこと。時間がピタっと止まったような、神話の世界に入り込んだような体験でした。

日本3大湖城のひとつに立ち寄り

本宮から諏訪湖までは30分ほどの距離ですが、その道すがら「諏訪の浮城」と呼ばれる高島城に立ち寄ります。現在、湖畔から2㎞ほど離れているところに建てられていますが、完成当時は湖水と湿地に囲まれ、諏訪湖中に浮かぶように見えていたようです。しかし江戸時代の干拓により、現在の姿に近くなりましたが、日本三大湖城のひとつに数えられています。

高島城から5分ほどで諏訪湖(南岸)に到着です。立ち寄りスポットが色々あったため「ようやく」といった感じではありますが、まだ走行距離は10㎞ほど。これからがスワイチのスタートです。

諏訪湖の周辺にはサイクリングロードがほぼ一周整備されていて、まだ一部工事区間ありますが、かなり走りやすいルートとして知られています。画像でも分かるように歩行者通路(赤の地面)と自転車通路に分かれているのもその要因。かなり快適です。

湖岸にはレストラン、カフェなどの立ち寄れるスポットが多数あります。諏訪湖間欠泉センターもそのひとつ。1983年に初めて噴出した際には50mもの高さまで自噴していたようですが、現在は約5mほどの高さを1日に数回、人工的に噴出させています。

それにしてもサイクリングロードはかなり快適。1周16kmほどですが、上りはほとんどなし、午前中は湖風も吹き、気温が30℃を超える日でしたが走るにはちょうどいい環境でした。

3社目の諏訪大社に到着

しばし湖岸を走った後、湖を離れて向かったのが3つ目の諏訪大社 「下社 秋宮(以下 秋宮)」です。

立派なしめ縄が目を引く神楽殿、1.7mで日本最大級といわれる青銅製の狛犬がその特長。これまで訪れた2社つの大社と違い、空がひらけて明るい印象です。

こちらのしめ縄は出雲大社と同じ様式を採用し、長さはなんと13m!という日本有数の大きさ。真下に行くとその迫力に圧倒されます。

旧中山道を通り、最後の諏訪大社へ

4社の諏訪大社へは旧中山道を通って行きます。中山道は東海道と同じく、東京・日本橋を出発点とする街道で京都の三条大橋まで続く街道。その道中には今も古くから残る宿場があり、往時の風情を感じさせます。

また杉の巨木が続く上りルートもあり、湖岸とは違った景色を感じることができました。

最後に訪れたお社が「諏訪大社 下社 春宮(以下 春宮)」です。秋宮と同様の建築様式を採用しているほか、御神体は"自然そのもの"としているため、本殿がないというほか2社と同じ特長をもっています。

堂々とした佇まいの幣拝殿の奥にご神体代わりの自然(ご神木)が鎮座。欄間には獅子や龍などの彫刻が施され、その意匠の美しさには思わず目を奪われてしまいます。

今回は前宮、本宮、秋宮、春宮の順番でお参りしましたが、諏訪大社はすべて"同格"なので順路の決まりはないようです。クルマなどで回る場合は、効率のいいルートを考える必要がありますが、自転車の場合はかなり自由度が高いので好きなルート設定ができると思われます。

湖の西側でちょっと一息

春宮を後にして、再び諏訪湖畔に戻ります。正午近くなり気温もグッと高くなってきましたが、サイクリングロードは木陰が多く快適。通常、海岸や湖岸のルートは日かげが少なく暑さ対策がいつもよりも必須になりますが、諏訪湖はあまり心配がなさそうです。この快適さなら初心者でも簡単にスワイチができそうです。

湖の西側のランドマーク、釜口水門まで到達しました。実はここが天竜川の起点となっている地点です。ここから流れ出た水が長野県、愛知県を経て、浜名湖のすぐ東側を流れ太平洋に注いでいるかと思うと自然の雄大さを感じずにはいられません。また、近ごろは映画『怪物』の印象的なシーンで登場していたので、この水門の形が記憶に残っている方も多いかもしれませんね。

ここからは2㎞ほど工事区間が続き、サイクリングロードが途切れてしまうのですが、23年中には完成予定とのこと。ただし路肩も広く、車道でもかなり走りやすさは感じられました。

このあたりでしばしの休息します。湖の南西にあるのが「てるてるぼ~ず」です。サイクルラックもあり、諏訪湖ライドの途中で、自転車乗りが立ち寄りやすいポイント。

自慢のコーヒーは数種類の中から自分で選んで淹れてもらえる本格的なもの。お店のおすすめの「縁結びブレンド」をアイスコーヒーにしてもらいましたが、すっきりとした酸味と苦味のバランスが暑い日にピッタリの味わい。走った距離はそれほど長いわけではないですが、少し襲ってきていた疲労感をリフレッシュして、また走り始めます。

コーヒーブレイクの後はわずか3kmほどだったので、あっという間にスワイチ達成です!
盆地ということもあり、遠くには霧ヶ峰や八ヶ岳、すぐ近くに目をやれば青く輝く静かな湖面と16㎞の道のりはあっという間。諏訪大社4社を巡っても、10km弱の距離がプラスされるだけなので、気軽に走り切れると思います。

ほぼ全周にサイクリングロードが整備され、観光施設も充実した諏訪湖。近くに峠もあるのでスワイチの後に上りに行くアレンジも自由自在です。初心者もベテランも愉しめるルートでした。

  • 取材・撮影/今 雄飛(こん ゆうひ)

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