SUBARU CYCLE FAN CLUB

チームSUBARU 東北100kmを駆け抜ける

チームSUBARUのメンバーたちが参加した震災復興イベント「ツール・ド・東北2022」。9月18日に、3年ぶりにリアル大会として開催された。北上フォンド(100km)と女川フォンド(65km)の2コースにおよそ1500人がエントリー。自転車ジャーナリストのハシケンがチームSUBARUに密着してVol.1に続いてレポート。レポートVol.1はこちら

2019年以来、3年ぶりにリアル大会が開催されたツール・ド・東北2022。親しまれてきた大会のキャッチコピー「応援してたら、応援されていた」に、今大会は「笑顔で再会しよう」が加わった。参加したチームSUBARUのメンバーたちの中にも、3年ぶりの再会ががあり、そして何より3年ぶりに東北の地を走るメンバーにとっては、地元の方々やボランティアスタッフとの再会が実現した。

この大会に何度も参加してきたベテランたちが初参加のメンバーをサポートしながら100km先のゴールを目指す。太陽がテッペンをまわり、志津川湾で養殖した銀鮭フライとホヤがゴロッと乗った贅沢な南三陸シーフードカレーをペロッとおなかに入れた12人のチームSUBARUのメンバーたち。石巻発着の100km「北上フォンド」コースの最北端に位置する「神割先AS」(62km地点)を後にして、さっき走ってきたリアス式海岸沿いのリアスブルーラインを南下し始めた。

今回、チームSUBARUのメンバーたちに密着して一緒に東北の今を感じながら走っていると強く感じることがあった。この大会はエイドの振る舞いが充実しているし、沿道で歓迎してくれる地元民の温かさも印象に残る。前評判通りだ。しかし、この大会は震災の爪痕を見て感じる場所がコース上に多く、楽しい週末のロングライドイベントの最中であっても、ひとり悲しみの感情に包まれる時間帯が何度も訪れた。やはり、震災の事実を自身の脳裏にあらためて刻み、そして周りの家族や仲間たちに伝承する役割がこの大会に参加する大きな意義であると感じる。

行きはさほどキツさを感じなかった坂道も、帰りは思いのほか脚にくる。それでもキツさを乗り越えた先には爽快なダウンヒルが待っているもの。左手に漁港や新たに作られている道路を眺めながらシーサイドロードを快調に飛ばしていく。70kmすぎ、ひと山を越えたところでマイペースで頑張っている仲間の合流を待って、きたかみさくら公園へ立ち寄ってしばしの休憩タイム。この公園には、あの日、この北上地区で命を落とした方々の慰霊碑が建っている。事前に予定していたわけではなかったが、みんなが揃った段階で、バイクを置いて慰霊碑の前へ。その場で静かに手を合わせた。

慰霊碑から走り出して間も無く、今回北上フォンドの最終エイドステーションになっている「北上AS」へ到着。ここでは、地元産の「うにめかぶ」が振る舞われた。石巻市北上町の十三浜は養殖ワカメの名産地として知られ、メカブとウニの味わいは絶品。とくに疲れたカラダには塩分が染みわたる。

この北上ASは白浜ビーチパークが会場になっているが、ここも2019年4月に開園したばかり。震災前は白浜海水浴場として賑わっていたが、堤防の上に展望休憩スペースが作られ、街は新たな景色と共に歩み出している。
白浜ビーチパークの脇には、歴史の刻まれた石碑が建つ。そこには「地震があったら、津浪の用心」と掘られていた。昭和8年3日3日の昭和三陸地震の記憶を後世に伝えるためのものだった。

最後のエイドステーションを後にして、残り距離30km。今回のルートの中でもっとも爽快にスピードを出せる北上川の河口エリア。ここで、今回のチームSUBARUのリーダー的な存在の小島敦さんが満を持して向かい風を切って先頭を引っ張り出す。屈強な先輩の姿を見て、後輩たちが後ろでラクをするわけにもいかない! ツール・ド・東北は初参加の相場正行さんが先頭を代わり牽引。その後も繰り返される息の合った先頭交代。この北上川沿いのフラット区間は、しばし血気盛んな一部のメンバーによる高速SUBARUトレインが形成されたのだった。

さて、北上川に架かる新北上大橋を渡って、チームSUBARUのメンバーが訪れたのは、震災遺構のひとつ「大川小学校」。震災では新北上大橋も崩落し、大川地区も甚大な被害を受けた。現在、大川小学校は石巻市震災遺構に指定され、2019年には大川伝承館が新設されている。
ここは今回のコースエリアではあるが、大会側で指定した立ち寄り地点にはなっていない。ただ、児童はじめ多くの犠牲者を出したこの地を訪れて向き合いたいと思う参加者たちは多く、参加者たちは自主的に足を運んでいた。

津波が押し寄せた時間で止まっている時計、教室の黒板がそのまま残り、子供たちの学び舎が虚しく残る。なぎ倒されたコンクリートの支柱が、津波の恐ろしさをまざまざと見せつけていた。言葉を失うメンバーたち。この地で感じること、思うことはそれぞれだろう。

残り20kmを切り、北上川の上流へと堤防沿いを走り抜けていく。ここまでくるとフィニッシュが見えてきて元気が出てくるというもの。田んぼは黄金色に輝き、ちょうど稲刈り時期。その脇を軽快にペダルをまわしていく。そして、最後まで沿道では地元の皆さんが旗を振って、手を振って応援してくれている。応援してたら、いつしか応援されていた。そして共に自然に笑顔が溢れる。

いよいよ、朝にみんなで出発した会場の石巻セイホクパークへ。ゴールゲートが見えてきたところで、今回参加したメンバー12人で隊列を組み直して横2列になって感動のフィニッシュへ。初参加のメンバー6人とって、忘れられないはじめてのツール・ド・東北になった。また、2017年大会を「SUBARU100kmチャレンジプロジェクト」企画で共に走った他のメンバーたちにとっても、当時は台風の影響でコース短縮開催となっていたため、今回はメンバー揃ってのはじめての100km完走が叶った瞬間になった。

東北の皆さんと、仲間たちと笑顔で再会を果たした今大会。被災地をペダルを漕いで走り、自身の目で見て感じたことで、特別な想いを抱いた参加者も多かったはずだ。最後に、今回参加したチームSUBARUメンバーたちのゴール後の声をどうぞ。

No.1
相場正行さん
社内のスバルサイクリングクラブ(SCC)に所属し、普段からスポーツ自転車に乗って会社まで片道15kmの自転車通勤、年に数回レースにも参加していますが今大会は初参加でした。東北の皆さんの暖かさを感じることできました。また参加したいと思いました。東北の皆さん、ありがとうございました!

No.2
高橋望美さん
街の空気や東北の皆さんとコミュニケーションが取れ、全国のサイクリストと思いを共有できたのかなと思います。そして、被災地をペダルを漕いで自分で回ったことで感じることが多くありました。はじめての100kmでしたが、心強い仲間たちのおかげで笑顔でゴールができました!

No.3
佐々木礼さん
職場の先輩が病で倒れてから復活され、ツール・ド・東北に参加していた姿を見て、いつか参加しようと思っていました。最近はなかなか仲間で走る機会を作ることも難しかったですが、今日はグループで走る楽しさを感じることができました。

No.4
小野寺健太さん
9年ぶりに宮城を訪れ、復興状況を自身の体を通して感じることができました。東北の皆さんからいっぱい元気をもらいました。明日からもまた元気に頑張っていきたいと思います!

No.5
重野守さん
初参加でしたがマイペースで完走でき、とにかく楽しかったです。コロナ禍で東北を訪ねていなかったこともあり、その間の変化を見て感じられたことがよかったと思います。通り過ぎるだけではなく自転車のスピードで復興を感じ、地元の方と触れ合えることがこの大会の魅力です。

No.6
高橋真史さん
震災の時、東京で帰宅困難者になって、その後ロードバイクを購入しました。そのバイクでこの地を走れたことが個人的に記憶に残る大会になりました。亡くなった方々の思いとその悲しみも感じつつ、東北復興に向けてイベントに参加することで少しでも協力できれば嬉しく思います。

No.7
榎田隼一さん(100kmチャレンジプロジェクトメンバー)
4年連続4回目のツールド東北でしたが、沿道からずっと応援をもらえるので笑顔でいられます。1応援がとても温かく、その姿を見ていると勇気をもらえます。100kmでは足りないくらい応援が大きな力になりました。

No.8
矢澤隆さん(100kmチャレンジプロジェクトメンバー)
『応援してたら、応援されてた。』という大会の精神に賛同して毎年エントリーしています。エイドステーションのボランティアの方々や、大漁旗が並ぶ沿道で応援してくださる地元の方々と、適切な距離を保ちつつも沢山触れ合えました。いつも応援が嬉しいのですが、今日は特に「おかえりなさい」という言葉が印象的でした。

No.9
中野久さん(100kmチャレンジプロジェクトメンバー)
日常的にボランティア活動に参加しており、東日本大震災の時も石巻で活動をしていました。その後、訪れる機会を見出せずにいましたが、ツール・ド・東北がきっかけを作ってくれました。今年で3回目の大会参加になりました。体力的に100kmは厳しかったですが、楽しく完走できました。また来年来ますよ!

No.10
向谷地美香さん(100kmチャレンジプロジェクトメンバー)
マイペースでで無事に走り切れてよかったです。道路は毎回参加するたびに新しくなり景色は変わっていきますが、地元で応援してくださる方々やボランティアのやさしさは変わらず、元気をもらいました。いつも同じ場所で応援してくれる方とは、今年も会えたね!と嬉しくなりました。

No.11
植田圭一郎さん(100kmチャレンジプロジェクトメンバー)
100kmチャレンジプロジェクトのサポートで参加したことがきっかけでしたが、今年で3回目になる大好きなイベントです。ステレオタイプな報道とは違った今の東北のありのままの姿を肌で感じられ、自転車のスピード感ともマッチしていると感じました。出走するたびに復興支援への共感が高まるイベントと思います。

No.12
小島敦さん(100kmチャレンジプロジェクトメンバー)
ツール・ド・東北の趣旨がサイクルスポーツを通じて、持続的に復興を支援することです。SUBARUとしてもそこに共感していまして、今日ここにいるメンバー以外にも大会に参加している社員メンバーもいるはずです。そして、2017年時のSUBARU100kmチャレンジプロジェクトのメンバーが今もずっと走ってくれていて、昨年は震災から10年の節目でしたが大会が中止になっていましたので、こうして今年また一緒に走って完走できたことが非常に嬉しいです。

ツール・ド・東北2022公式ホームページ
https://tourdetohoku.yahoo.co.jp/

SUBARUのメンバーが走った「北上フォンド」のコース
https://ridewithgps.com/routes/38566363

TEXT&PHOTO

ハシケン(橋本謙司)

自転車業界のメディアの立場として活動を続けて15年になるフリーランスの自転車ジャーナリスト。専門誌やウェブメディアにて連載をもち、映像制作も手がけ、スポーツ自転車の情報を広く発信。e-Mobility協会スペシャルパートナー。日本各地のサイクルツーリズム振興施策、リアルイベントの企画・広報などにも携わる。乗鞍・冷泉小屋スタッフ。過去にMt.富士ヒルクライム一般の部優勝など、自身もアマチュアレースを走り続ける。
https://www.hashikenbase.com

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