SUBARU CYCLE FAN CLUB

チームSUBARU 東北100kmを駆け抜ける

2022年9月18日、大勢のサイクリストたちが3年ぶりに東北の地を駆け抜けた。東日本大震災から2年後の2013年に誕生した「ツール・ド・東北」。東北へ思いを寄せるサイクリストたちの輪は年々広がり、2019年大会はおよそ4000人がエントリー。毎年、大会開催を通して、復興を支援し、サイクリストたちはその変化を見守ってきた。震災から11年目の今年は規模を縮小しての開催となったが、1500人が久々のリアルなツール・ド・東北を楽しんだ。

今大会には、普段SUBARUで働くサイクリストの社員や、コロナ禍前にSUBARUがツールド東北とコラボした企画「SUBARU100kmチャレンジプロジェクト」に参加してきたメンバーたちが久々の再会を果たし、ツールド東北2022に参加した。今回、宮城県石巻を発着とする100km「北上フォンド」に参加した彼らに、自転車ジャーナリストのハシケンが密着。東北の今と3年ぶりの今大会をレポートする。

「おはようございます!」日の出とともに強い日差しが降り注ぐなか、スタート地点に集まり出すチームSUBARUのメンバーたち。しばらくすると、緑の風船が東北の空高くに舞い上がった。8時ちょうど、第一グループのスタートが切られた。その後、会場となる宮城県石巻市のセイホクパーク石巻から時差スタートでコースインしていくサイクリストたち。チームSUBARUのメンバーたちも、記念撮影をしてからいざ出発。

コロナ禍前の2019年大会では、仙台と気仙沼の2会場、全6コース(5フォンド+1グループライド)で開催されていた本大会。石巻発で気仙沼まで北上して帰ってくる最長210kmのコースはじめ、距離別に南三陸、北上、女川・雄勝など被災地をめぐるバリエーション豊かなコースで行われてきた。今年は100km「北上フォンド」と65km「女川・雄勝フォンド」の2コースで、いずれもセイホクパーク石巻がスタート・ゴール地点にして開催された。

今回参加した12人のチームSUBARUメンバー全員が「北上フォンド」100kmにチャレンジ。過去に何度も参加してきたメンバーもいれば、ロングライドイベントデビューのメンバーも含めて、ツール・ド・東北初参加のメンバーが5人。
今大会のコースを紹介しよう。石巻市から女川町を通過して、リアス式海岸沿いを走るリアスブルーラインを北上。一旦、山越えをして東北河川最大の北上川へ。60km地点の神割崎で折り返してふたたびシーサイドルートを南下。帰りは、北上川上流に向けて川沿いを石巻へ戻る全長100km。大きな峠越えは40km付近の1カ所だが、海岸沿いは小刻みなアップダウンがあり、走りごたえは十分。スタートゲートを潜ってスタートしてセイホクパーク石巻をスタートした一行は、SUBARU100kmチャレンジプロジェクトのメンバーたちが先導する形で走り出し、12人全員での完走をめざす。

スタートからしばらく黄金色のじゅうたんのように稲刈りを待つ田園景色のなかを走り抜けていく。ブルーのオリジナルジャージをまとった2017年の100kmチャレンジ時のメンバーたちが先頭を固めて、その後ろにSUBARUの社内サイクリングチーム「SUBARU CYCLING CLUB」のオレンジジャージが続く。

今大会のキャッチフレーズは「応援してたら、応援されてた」だ。復興支援のため、東北の皆さんを元気づけたいという思いからはじまった大会も、今では逆にサイクリストたちが応援してもらって元気をもらっている。東北の皆さんの歓迎っぶりは、一度でもこの大会に参加したことがあるサイクリストなら思うところだ。さっそく、信号待ちで地元の住民のみなさんが、沿道や手を振って応援してくれる。

街中には震災後に作られたであろう平屋住居が並び、海岸線が近づいてくると工事現場が多く目につくようになる。11年が経ち多くの人の努力によって新しく生まれ変わったところもあれば、まだまだ震災当時のままの状況も多く残っている。およそ15km地点で女川町の海岸広場に到着。ここ最初のエイドステーション「女川AS」では、サンマのすり身汁こと女川汁が振る舞われた。

ここ女川も当時大きく被災した地域のひとつ。エイドステーションの敷地の一角には慰霊碑が建ち、旧女川交番の壁面コンクリートがひっくり返った震災遺構がある。この震災遺構は、福島から青森までの沿岸部にかけて震災伝承施設として数多く保存管理され、「3.11伝承ロード」として広域で構成されている。まさに、震災の事実や記憶、経験や教訓を後世に伝える存在だ。

いくつかの漁港をかすめながらリアスブルーラインを北上していくメンバーたち。まだまだ序盤で余裕の表情を見せながらペダルを漕いでいく。脚力差が生まれてしまい隊列が伸びてしまう坂道も、先頭をいくメンバーたちがピークでしっかりと後続メンバーを一旦待つグループ走を徹底。上り切ったら、今度は右手にシーサイドを望みながらの爽快なダウンヒルだ。漁業が盛んな沿岸エリアの象徴とも言うべき大漁旗が力強くたなびき、サイクリストたちを応援してくれる。

40km地点手前、石巻市雄勝へ到着。ここも当時は破滅的な被害を受けた漁港のひとつで、かつては日本一美しい漁村として知られていた。しかし、今は雄勝地区を守るため、高さ10mの防潮堤が存在感を見せている。海はすぐそこだがなかなか見ることが叶わない。これも震災によってもたらされた変化なのだ。

その防潮堤の上の高台に新たにできた「道の駅 硯上の里おがつ」。ここが、2つ目のエイドステーション「雄勝AS」。塩の香りに誘われて向かった先には、ホタテの浜焼きがジュウジュウと音を立ている。その場でお兄さんたちが焼いてくれる贅沢な振る舞い。真夏に逆戻りしたような暑さでかなりの汗をかいたのだろう。ホタテの塩っけが身に染み渡った。

40km地点を通過して、いよいよ北上川へと抜ける3kmほどの上り坂がはじまった。ピークは釡石トンネルを通るが、勾配もそここそあって初ロングライドデビューのメンバーにとっては最初の踏ん張りどころ。苦しいなかで顔をあげると、そこには仲間も同じく苦しむ姿。そんな時、仲間同士で励まし合いながら、それぞれのペースでペダルを漕いで坂の上をめざして走る。

北上川に架かる新北上大橋を渡って対岸へ。ルートから少し外れるが新北上大橋のそばには、石巻市震災遺構の大川小学校もある。コースの帰りにみんなで立ち寄る約束をして、まずは大会のコース通りにたどっていく。

北上川を下流へと抜けていく沿岸道路は完全に舗装され直し、堤防が地平線のように一直線に作られている。サイクリングにはとても走りやすい道だが、どこか人工的な印象も強く残る。脚力自慢のメンバーたちは、ここぞとばかりに3~4人の隊列を組んで爽快に飛ばしていった。その勢いのままシーサイドルートを北上していくと、コース折り返し地点が近づいてきた。

62km地点、今回のルートの最北に位置する「神割先AS」へ。太陽はちょうど真上から照らし、タイミングよくおなかが空いてきたころ。ここで神割観光プラザ内「レストラン神割」の名物、神割カレーが登場。過去に参加したことのあるメンバーの中には、このカレーを楽しみに中盤を頑張って走ってきた仲間も。

事前の曇りの天気予報もはずれ、快晴に恵まれた当日。正午を過ぎて少し雲が覆うようになってきたが、夕方まで天気は持ちそうなロングライド日和。ここまでメンバー12名全員が一丸となって60kmを走破。ランチを終えたら、いよいよゴールを目指してロングライドも後半へ。

コロナ禍のなかで3年ぶりのリアル大会として開催されたツール・ド・東北2022。沿道やエイドステーションでは東北の人々が温かいおもてなしでサイクリストたちを歓迎してくれていた。そんな姿に勇気と元気をもらいペダルを漕ぐチームSUBARUのメンバーたち。いっぽうで、未だに残る津波の爪痕を目で見て感じるイベントでもある。楽しかったり達成感を味わうだけのロングライドイベントとは異なる存在でもある。レポート後編(Vol.2)では、慰霊碑や震災遺構の大川小学校への立ち寄りなどもしながら、残り40km少々の道のりを走ってゴールをめざす。果たして、全員でフィニッシュゲートを潜ることができるだろうか。

<写真のキャプション(人物紹介>

スバルサイクリングクラブ(SCC)に所属。スポーツバイク歴1年、ツールド東北初参加にしてロングライドイベントデビューの高橋望美さん。男性陣に負けず力強く坂道も駆け上がっていく。普段は国内営業を担当している。

スバルサイクリングクラブ(SCC)メンバーの重野守さん。トライアスロンに取り組んでいたが故障が続き、今回のツールド東北には、最近購入したてというキャノンデール・CAAD13 105ディスクで初参加。SUBARU国内営業本部に所属。

自転車歴10年になるベテランサイクリストの小島敦さん(SUBARU国内営業本部所属)。2016年に「ツール・ド・東北2016 100kmチャレンジプロジェクト」を企画。今回ともに走る仲間(チャレンジプロジェクトの青いジャージ)は、同企画の翌2017年時に参加したメンバーたち。日頃から自転車以外にトレランなどにも挑戦し身体づくりを怠らず、自身4回目になるツールド東北でも、若者に背中を見せながら先頭を引っ張る。

TEXT&PHOTO

ハシケン(橋本謙司)

自転車業界のメディアの立場として活動を続けて15年になるフリーランスの自転車ジャーナリスト。専門誌やウェブメディアにて連載をもち、映像制作も手がけ、スポーツ自転車の情報を広く発信。e-Mobility協会スペシャルパートナー。日本各地のサイクルツーリズム振興施策、リアルイベントの企画・広報などにも携わる。乗鞍・冷泉小屋スタッフ。過去にMt.富士ヒルクライム一般の部優勝など、自身もアマチュアレースを走り続ける。
https://www.hashikenbase.com

会員登録のご案内

スバルとクルマが好きな方なら誰でも会員登録できます。

  • 会員登録は無料
  • 車をお持ちでない方大歓迎
  • 他メーカーの自動車オーナーの方でも登録OK
SUBARU IDのご紹介 IDひとつで、もっと広がるスバルライフ!
#スバコミサイト内検索
マイスバル