皆さん、日々のサイクルライフをいかがお過ごしでしょうか。アウトドアスポーツに人気が集まる昨今、休日に気軽にサイクリングを楽しまれている人も増えています。一般的には、日中の日があるうちに楽しむことが多いと思いますが、実は同じ場所を走っても時間帯を変えるだけで、まったく違う世界に出合えます。今回は、夜の街をポタリングするナイトライドの世界観を、自転車ジャーナリストのハシケンさんが紹介します!
夜景を撮りに行こう!
Tokyo night ride

東京タワー、レインボーブリッジをめぐるお手軽ライド
日没直前の午後6時すぎ、東京駅前の行幸広場は日中のビジネス街とは一変。仕事終わりのサラリーマンが夕涼みを楽しみ、赤レンガの東京駅をバックにウェディングフォトを撮影しているカップルが何組も! 夕日に照らされた駅舎や高層ビル群はオレンジ色に染まり、道ゆく人々もスマホ片手に写真を撮って楽しんでいる。メトロポリタンのど真ん中とは思えない、そこにはゆったりとした時間が流れていました。
今回のナイトライドは、平日の仕事終わりの時間帯。午後6時すぎからおよそ2時間、東京の夜の夜景を楽しむお手軽ポタリングです。東京駅を出発して、丸ビル群を抜けて、皇居外周道路から東京タワーをめざします。さらに、東京湾に近い竹芝付近からレインボーブリッジのライトアップを楽しみ、銀座、有楽町を経由して東京駅へ戻ってくるルート。距離にして15kmほどのコンパクトな中に、東京を代表する夜景スポットがギュッと詰まっています。ある意味でド定番スポットですが、はじめての東京ナイトライドにはオススメのルートです。

さて、ナイトライドを存分に楽しむためのコツは、完全に日が落ちてから出発するのではなく、日没直前からスタートすることです。とくに、雲が少なく日中晴れた日は、美しい夕景とライトアップされた街の明かりが、日没後とはまた違った独特の景色を見せてくれます。この日は、日没時間を事前にリサーチしておいて、その20分ほど前に東京駅に到着。東京駅舎を照らす夕日と街路灯が幻想的な世界を作り上げていました。さっそく、愛車のロードバイクを映り込ませてスタート前の一枚を撮影!
東京駅前の行幸通りから、皇居内堀通りを日比谷方面へ。めざすは東京のナイトスポットとして人気の東京タワーです。日中の蒸し暑さとは一変し、心地よい夜風に吹かれながらペダルを漕げば、なんだか1日のストレスもさっぱり浄化されていくような気分です。15分ほど走ると、ビルの隙間にオレンジ色に輝く東京タワーが見えてきました。

ビル群の間から覗く東京タワーも好きですが、写真映えするのはタワー直下からの構図です。ちょっと煽り気味にシャッターを切れば、ライトアップされた大迫力の東京タワーを写真に収めることができます。

夜景写真は三脚が便利! カメラはアイフォンでも十分!
ナイトフォトの撮影で用意しておくと便利なアイテムは、手ブレを防ぐためのカメラを固定する三脚です。今回の撮影も、基本的にコンパクトな三脚1つとカメラ1つです。広角レンズを付けておくことで、迫力ある写真を撮影できるのでおすすめです。

ちなみに、スマートフォンでもナイトモード(iphone11/12)を使えば手軽に夜景撮影を楽しめます。いずれにしても三脚があると、誰でも簡単に美しい夜景を撮影できます。また、撮影時には、シャッターボタンを直接押すのではなく、セルフタイマー機能を活用すると、よりブレを抑えて撮影ができるのでお試しください。

今回の撮影で用意したカメラと三脚。バックパックに収まる長さのコンパクトな三脚を用意しておきたい。
東京タワーの次は、東京湾へ向けてバイクを走らせます。潮の香りを感じつつ、レインボーブリッジが見える場所へ。海沿いの新日の出や芝浦埠頭あたりがおすすめのスポットです。東京湾からは対岸の千葉県の沿岸部のライトアップも楽しめました。
レインボーブリッジでは、愛車に加えて自分自身も加わってセルフタイマーで撮影。ちょっとした身体のブレがあると写真のクオリティが下がってしまうので、シャッターを切っている最中は息を止めて、身体を固定することがコツ!

東京駅を出発して、皇居、東京タワー、レインボーブリッジ近くまで来たところで、ここまで距離は7km程度。ここからは、東京駅へ向けて折り返します。行きと同じ道を走るのではつまらないので、違った道を選びましょう。汐留のビル群、銀座通り、有楽町などは、今回のナイトライドでおすすめのルートです。東京駅に戻ってきて、今回のナイトライドの走行距離は約15km。立ち止まっての撮影時間を含めて2時間ほどの余裕を見ておくと、東京夜景ライドを存分に楽しめるでしょう!


夜間走行時の前後のライトの点灯は道路交通法で定められています。最近では自転車の安全走行の意識向上とともに、デイライト(日中でも視認性を高めるため点灯)が推奨されています
今回の東京夜景ライド、いかがだったでしょうか。日中の東京の街とはまったく違った景色に出会えるナイトライドは、短時間で気軽にソロライドで楽しめる魅力があります。そして、これまで知らなかった街の新しい道や景色を知ることもでき、刺激いっぱいのライドになること間違いなしです! これからの季節、夜涼みがてら東京ナイトライドに出かけてみませんか!?

平日、日没直前の東京駅前の日常風景。よく知っている自分の街を自転車でめぐることで、ちょっと幸せな気分になれるかもしれません。
テキスト&写真/ハシケン(橋本謙司)さん
スポーツ自転車を専門にする自転車ジャーナリスト。自転車専門誌やウェブメディアにて複数の連載をもち、自転車の情報を発信する。30代後半に差し掛かる今も、アマチュア自転車レースに積極的に参加。自転車イベントのアドバイザーや長野県松本市の乗鞍岳の山小屋の経営にも携わる
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