SUBARU CYCLE FAN CLUB

Vol.2 真っ直ぐ走る、止まる、曲がる
ロードバイクの3大スキルを習得

すべてのサイクリストにためになるスキルを一緒に学ぶ

近年、スポーツ自転車を安全に楽しむために必須の走行スキルを、実践を通じて習得できるサイクルスクールの注目度が高まっています。前回お送りしたVol.1では、コーナーリングをはじめとするバイクの走行スキルに不安を持っているモデルでサイクリストの日向涼子さんが、サイクルスクールを初体験しました。スクールでは、走行スキルを身につけるだけでなく、バスの死角をテーマに安全に走るために意識すべきことを学びました。

今回は、実際にスクールで学んだ基本スキルについて、サイクルスクール主宰者である安藤隼人さん(スマートコーチング代表)に改めて実践形式で教えてもらいました。すべてのサイクリストにためなる貴重なアドバイスです。ぜひ、一緒に安全走行スキルを身につけましょう!

サイクルスクールを主宰する安藤隼人さん(左)のレッスンを受けた日向涼子さん(右)

安藤隼人さん(スマートコーチング代表)

新宿区四谷にスタジオを構え、サイクリストやトライアスリートのコーチングを行うプロコーチ。また、自動車学校を使ったサイクルスクールのほか、自転車事故時に応急処置を施せる技術を講習するファーストエイドイベントも主宰する。安全を最優先にしたスポーツ自転車の楽しさを伝えている。書籍に「ロードバイク速攻上達本」。
https://www.facebook.com/smartcoachigjp/

日向涼子さん(モデル&サイクリスト)

広告モデルとして活動する一方で、趣味のサイクリングが高じて、2010年からロードバイクを始め、長年にわたり自転車関連のTV番組、サイクリングイベントにゲスト出演。専門誌でヒルクライムをテーマにした連載をもつ。また、書籍に「<坂バカ式>知識ゼロからのロードバイク入門」「日向涼子のヒルクライムナビ」など。
https://cycle-concierge.jp
http://ryokohinata.com

ロードバイクの3大スキルについて、安藤コーチが一つひとつ丁寧に解説。ムービーはテキストと合わせてチェックすることで、より理解が深まります

#1 ニュートラルポジション
左右ペダルに均等に荷重し、まっすぐ走る!

まずは、真っ直ぐに走る、コーナーを曲がる、ブレーキングなど、バイクの上でのあらゆる動作の基本となるニュートラルポジションの習得から始めましょう。バイクが左右にふらつく主な原因は、左右のペダルに均等に荷重ができていないためです。たとえば、左ばかり強く踏み込んでいると、人は無意識のうちにハンドルを右へ切ってバランスを調整しようとしますが、この動作が小刻みなブレを生み、不安定感を増します。ニュートラルポジションの作り方のコツについて安藤コーチは次のようにアドバイスします。

安藤コーチ 「乗り物では重心は低いほど安定するため、ロードバイクではペダルの付くクランクのボトムブラケット(以下、BB)へライダーの体重をしっかり乗せることが大切です。ハンドルとサドルを中心に乗っていると重心が高い位置にあり、慣性が働き左右へ振れやすくなってしまいます。そして、BBに体重を乗せる時に気をつけるべきポイントは、足先に力を入れて踏もうとするのではなく、足全体をリラックスした状態で体重を乗せてあげることです」

左右のペダルへ均等に荷重ができていないため白線から脱してしまった

ここでは、BBの左右のペダルに均等に荷重できるようになるため、白線の上を真っ直ぐ走るドリルでニュートラルポジションの習得を目指します。日向さんのニュートラルポジションをチェックした安藤コーチは、次の点を指摘しました。
安藤コーチ 「日向さんの場合、ハンドル荷重にならずにBBへの荷重は意識できています。ただし、右足に荷重しすぎです。そのためハンドルを左に切ってバランスを整えようとしてフラついています。曲がっていく側の骨盤の位置を少し後ろへ引いてあげましょう。また、少し上体を下げるだけで重心が下がるため安定します」

左右のペダルへ均等に荷重ができ、重心も下がり、白線の上を走れている

安藤コーチの指摘を受けて、右荷重のクセを解消できた日向さんは、白線の上を真っ直ぐに走れるようになりました。ニュートラルポジションをしっかり取れるようになった証拠です。このニュートラルポジションがブレーキング、コーナーリングでも重心を捉える基本スキルになるため、確実に習得しましょう。

POINT
スニーカーで取り組みましょう!

基本スキルを習得する時は、踏む位置が固定されるビンディングシューズではなく、一般的なスニーカーのほうが荷重をかけやすい位置を見つけやすくオススメです

#2 急制動(ブレーキング)
レバーの握り方とニュートラルの作り方がポイント

いかなるシーンでも確実に停止できる! これはロードバイクに乗る上で、必須のスキルです。初心者の多くは、力強くブレーキレバーを握ることで停まろうとしていますが、それだけでは確実に止まれないばかりか、とっさの急ブレーキ時にはバイクの安定性を失うリスクがあります。
日向さんの急制動をチェックした安藤コーチは次の点を指摘し、改善のためのアドバイスをしました。
安藤コーチ 「お尻を引いて重心を後ろに移動しようという動きは見られますが、ブレーキを握る動作と同時に行われているため、慌ただしく不安定な急制動になっています。ポイントは、バイクの上でニュートラルポジションを作った後に、ブレーキ操作を行うことです。ブレーキを握る前にワンステップ入れるだけで、慌てずに行えるようになります」
さらに、ブレーキレバーの握り方とニュートラルを作るときのペダルを踏む足の角度も重要であると話します。
安藤コーチ 「ニュートラルを作るときに、よく言われる“母趾球で踏む”を意識するあまり、つま先で踏むと、カカトが上がって前のめりになってしまいます。ポイントはカカトを落として足裏で重心を捉えることです。また、レバーは根元をギュッと握るのではなく、レバーの遠いところから握ることで、握ったときに前荷重になることを防げます」

POINT
親指の腹を使ってレバーを握る

親指と人差し指の根元でブラケットを挟んで、人差し指と中指でレバーを握るのではなく、親指の腹で支点を作って、中指と薬指をレバーにかけるようにすると微調整が効きやすくなります。

安藤コーチからアドバイスを受けたのち、再び急制動を行った日向さん。バイクの上の動きが落ち着き、何より制動距離も大きく短縮できるようになりました。

#3 コーナーリング
コーナ前にニュートラルを作り、適正ギヤで微調整

日向さんに限らず、コーナーリングに苦手意識を持っている人は多いはずです。ほとんどの場合、コーナーリング中も重心を捉えるニュートラルポジションを作れていないようです。ここでは、確実に曲がり、スムーズにコーナーをクリアするためのポイントをレクチャーします。一つ目が「適正なギヤ選び」
安藤コーチ 「コーナーをスムーズに曲がるためには、まず適正なギヤを選ぶことです。重いギヤのまま走ると、少し踏んだだけで大きく加速してしまいコントロールが難しくなります。小回りをする時ほど、軽いギヤの方が微調整できます。一方、高速でコーナーを抜けるようなシーンでは、ギヤを少し重めにして、ハンドルに乗り掛からないように調整します。つまり、コーナーに合わせて常に適正なギヤを選ぶことが大切です」

POINT
当て利きでコーナリングを安定させる

適正なギヤ選びと同時に実践したいポイントが、コーナリング中もブレーキを少しだけかけてスピードを微調整する、いわゆる“当て利き”です。一般的なブレーキングとは違い、急激なスピード変化を起こさないため安定したコーナリングができます。

ふたつ目が「ニュートラルを意識した重心移動」。コーナーの遠心力で前方へ移動する重心を、しっかりニュートラルな位置にコントロールすること。
安藤コーチ 「コーナーでは遠心力が働くため、上体が前へ乗りやすくなります。結果、ハンドル荷重になり不安定になります。そこで、重心を捉えるニュートラルな位置へ調整しましょう。ポイントは、コーナーに入る前に、お尻を少し引いて、重心を後方に移動しておくことです」

POINT
外足を踏ん張るだけでは曲がれない

このニュートラルの意識でもう一つ重要なポイントが、“コーナーでは外脚荷重”というよく聞くフレーズを誤解しないこと。実際、日向さん自身も外脚荷重だけを意識していたようです。
日向さん 「コーナーリング中は、外側のペダルが下死点(クランクが時計の6時)の位置で踏ん張ってばかりいました。反対側の足は完全に力が抜けていて、左右の荷重調整で曲がることができていませんでした」
つまり、外脚荷重はあながち間違いではないが、ただ外脚を踏ん張れば良いというわけではなく、そこには、左右の荷重コントロールで曲がるというニュートラルを意識するスキルがあることを覚えておきましょう。

ポイントの3つ目が「目線」。苦手な人ほど手前を見てしまうのでないでしょうか。
安藤コーチ 「できるだけコーナーの先を見るよう意識しましょう。コーナーの抜ける直前まで手前を見て、コーナーを抜けてから頭を上げるのではなく、コーナーのラインの先を見る意識を持つようにしましょう。手元を見るよりも、バイクコントロールが安定します」

以上、適正なギヤ選び、ニュートラルを意識した重心移動、目線。この3つのポイントが、コーナーリングを確実に行うために身につけるべきことです。安藤さんのレクチャーを受ける前の日向さんは、コーナーの前にシフトチェンジをせず、コーナーでは外脚を下死点の位置で踏み続けていましたが、今日学んだ3つのポイントを実践することで長年の悩みであった苦手なコーナリングを克服することができました。

まっすぐ走る、確実に止まる、安定して曲がる。今回はこの3つの基本スキルを紹介しましたが、いかがだったでしょうか。目から鱗だった人も多かったはずです。ロードバイク初心者には、少し理解が難しかったかもしれませんが、実際に取り組むことで内容がスッと入ってくると思います。ぜひ、日々のライドの中で実践してモノにしてください。

会員登録のご案内

スバルとクルマが好きな方なら誰でも会員登録できます。

  • 会員登録は無料
  • 車をお持ちでない方大歓迎
  • 他メーカーの自動車オーナーの方でも登録OK
SUBARU IDのご紹介 IDひとつで、もっと広がるスバルライフ!
#スバコミサイト内検索
マイスバル